「薬捨てている」など 看護師によるXでの不適切投稿から考察する 繰り返されるSNSでの誹謗中傷はなぜ起こるのか?

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新年が明けて間もないが、またもやSNSによる不適切な内容が物議を醸している。旧ツイッターの「X」で、看護師とみられる人物が患者に不適切な処置をしたなどとする投稿が拡散していることについて、現在千葉市にある千葉大学医学部附属病院は、病院関係者による投稿の可能性があるという指摘を受け、調査を始めたことを明らかにしている。

不適切な投稿というのは、看護師とみられる人物の「インシデントおきても普通に隠蔽してしまう」、「薬を飲ませるのが面倒だから飲ませたふりをして捨てている」などという投稿のことである。
投稿した人物のアカウントは8日の時点ですでに削除されているが、千葉大学医学部附属病院によりますと、インターネット上では、この病院の関係者による投稿なのではないかという指摘があるということで調査に踏み切ったということだ。

ではなぜ、このSNSが普及し数多くの人々がSNSで発信する内容には気をつけなければいけないとわかっている中で、このような不適切な投稿をしてしまう者が後を絶たないのか?

まず、SNSで誹謗中傷が起きやすい理由を大きく4つのポイントに分けて挙げてみよう。

1:匿名性

SNS上で誹謗中傷が起きやすい理由のひとつが匿名性である。本名を伏せて発信できるため、気軽に発信できることが誹謗中傷につながりやすいといえる。直説相手と顔を合わせる必要がないため、普段は言えないような攻撃的な言葉が発信されやすくなり、ストレスのはけ口になりやすいといえるだろう。そして、言われた方も、相手が匿名であるためにやりかえすことができないという面でも、一方的に攻撃したい人にとっては都合がよくなっている。

2:拡散性

SNSは不特定多数の人がみることができるため、一言の発言だとしても、あっと言う間に世界に発信できてしまう。これにより、普段はいえないような悩みや不満を世界にむけて発信することができ、自分を養護する声が欲しい人や人に言えないような悩みを誰かに聞いて欲しい人が、深く考えずに投稿してしまう傾向にある。

3:集団心理

集団心理が働きやすいのも大きな要因のひとつである。他の人も発言しているから自分も大丈夫だろうと、過激な投稿をしてしまうケースがある。

4:SNSの利用者・利用時間の増加

今では小学生でも大半の子が携帯電話を買ってもらえる時代になっている。特に、10代後半の若者は大半がSNSを利用しているだけに、誹謗中傷に巻き込まれるリスクは大きいといえる。利用者や利用時間が増えることで、必然的にSNSで誹謗中傷を受ける機会も増えていくのではないかといえる。

ではなぜ、今回某看護師によるSNSへの不適切な投稿が行われてしまったのかを考察していこう。

1:日々のストレスのはけ口がない

看護師という仕事は日常的なストレスを抱えやすく、ストレス量に違いはあれども、ストレスフリーな生活とはいえないだろう。しかし、そのストレスを他で解消しようと思っても、休日は疲労のため寝て過ごしてしまう人も多く、他で解消しようにもできない状況に陥っている。家の中でできることというのは限られており、必然的にSNSに依存してしまうのかもしれない。

2:身近な人に言いたいけど言えない悩みである

今回投稿された、「インシデントおきても普通に隠蔽してしまう」「薬を飲ませるのが面倒だから飲ませたふりをして捨てている」という内容は、身近な友人や職場で話してしまうと自分の立場を悪くしてしまう可能性もあることから、自分の中に秘めておく必要がある。しかし人間の心理として、自分の失敗や犯してしまった悪いことは、誰かに共有したい、理解し共感して欲しい、承認して欲しいという欲求が出てくる。そして、自分のことを全く知らないSNS上の誰かにだけは話してもいいだろうと思い、投稿してしまう傾向にある。

3:悪いことだと思っていない

実は、この某看護師はこのような出来事を悪いことだとは思っていないのかもしれない。「インシデントおきても普通に隠蔽してしまう」「薬を飲ませるのが面倒だから飲ませたふりをして捨てている」、これは多忙な業務をこなす看護師にとっては日常的に行われていることであり、むしろ滞りなく業務を行うためには必要なことだと考えている可能性もある。小さなインシデントを報告するために、終業時間後にレポートを記載して提出し、それを部署のリスクマネージャーが添削して再度書き直しになることも多々あり、提出できた後も全体カンファレンスで当事者が公開処刑のような状況になりますます落ち込んでしまう負のスパイラル。年々厳しさを増す医療業界において、命に関わるような事故でない場合は、もみ消してしまった方がむしろ良いのではないか?という医療業界の厳しさを匂わせているのかもしれない。

さいごに

SNSの普及により多くの問題が浮き彫りになっているが、SNSとは本来私達の生活を豊かにしてくれるものである。それを悪用することがないように、今後は今まで以上にSNSでの発信内容に慎重になる必要があり、場合によっては厳重な対応が求められるのかもしれない。

現時点で、この千葉大学医学部附属病院の看護師による不適切投稿の詳細は不明であるが、解決に向かうことを祈るばかりである。

いずれにしても、SNSが必須の現代において、このような問題が解決される日は来るのだろうか。

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